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先進医療のがん陽子線治療
2010年8月に、日本国内に5か所程度しかない「がんの陽子線治療」をおこなえる筑波大学附属病院へ行ってきまし
た。

 先進医療とは何か?

先進医療とは、厚生労働大臣が定める高度で最先端の医療技術をもちいた療養等であり、現在は、適正な医療の
効率的な提供を図る観点から評価を行っている段階です。今後、有効性や安全性が確認できれば健康保険の適
用になりますが、先進医療の段階では技術料は全額患者の負担となります。

 陽子線治療とは何か?

筑波大学附属病院陽子線医学利用研究センターのパンフレットには下記のように記載されています。
「陽子は水素の原子核で、プラスの電荷を持ちます。この陽子を高エネルギーに加速して患者の患部に照射する
のが、陽子線治療です。陽子線は体内に入るとある一定の深さで完全に止まるので、狙った病巣に集中して照射
ができます。その結果、従来のX線治療よりも副作用が少なく、手術よりも体への負担が少ない治療として注目され
ています。(筑波大学附属病院陽子線医学利用研究センターのパンフレットより原文のまま転記)」
700万ボルトの陽子をつくり、高エネルギーに加速していくのですが、とても重い陽子を加速されるには巨大な加速
器(陽子シンクロトロン)が必要になります。

 写真で見る巨大な治療機器

陽子線治療に必要な機器を写真に収めてきました。想像していた以上に大掛かりな機器です。


陽子線治療病棟
陽子線治療は一般病棟とは異なる陽子線医学利用研究センターの建物内で行います。

陽子ライナック
この機器で700万ボルトの陽子をつくり、陽子シンクロトロンで加速していきます。写真奥で陽子シンクロトロンとつながっています。

陽子シンクロトロン1
写真中央から左下が陽子シンクロトロンです。陽子ライナックでつくられた陽子が陽子シンクロトロンに合流する部分です。

陽子シンクロトロン2
写真中央から右下が陽子シンクロトロンです。右上に映っている作業をしている方と比較すると、陽子シンクロトロンの巨大さがイメージできます。普通に写真を撮ったら1枚ではとても納まりません。写真中央から左上の方向へ分岐しているのがビーム輸送ラインです。

陽子シンクロトロン3
陽子シンクロトロンは円状になっていて、その円状にはこの巨大な赤い箱が6個並んでいます。

ビーム輸送ライン
陽子シンクロトロンで加速された陽子がこのビーム輸送ラインを通って患者のところへ届けられます。写真奥の壁の向こうに治療台があります。

陽子シンクロトロン4
機器には多くの管が敷設されています。ある管には冷却水(純水)が戻や行と書かれていました。

陽子シンクロトロン5
この巨大な機器は日立製のようです。陽子シンクロトロン1や2は、日立の看板がある薄緑色の部分に登って撮影したものです。

陽子線治療台
これが治療台です。陽子ライナックでつくられた陽子が陽子シンクロトロンとビーム輸送ラインを通って、この治療台に届けられます。患者はこの台に横たわっていれば良く、その代わりに、治療台の回りの回転ガントリー装置が動いて患者の患部に照射します。

回転ガントリー装置1
治療台の回りを回転する装置です。写真ではわかりづらいですが、3フロア分くらいのかなり巨大な装置です。

回転ガントリー装置2
装置の下の方です。撮影位置の1フロア下も使っています。

注意書き1
陽子線治療は放射線治療のひとつなので、このような注意書きがありました。ちなみに撮影した日は休業日で装置は稼働していませんでした。

注意書き2
これは回転ガントリー装置にあった注意書きです。巨大な装置が回転しているわけですから、傍にいたら大変危険です。

癒し
治療台の前に飾ってあった大きな絵です。患者の気持ちが少しでも落ち着くよう飾ってあるのでしょう。

治療室入口
治療室傍の待合室から撮ったものです。

あまりにも大きな装置をみた時、何故か宇宙戦艦ヤマトの波動砲が頭に浮かびました。何かとてつもないものを見
てしまったというのが率直な感想です。

 陽子線治療の費用は?

陽子線治療は、厚生労働省が定めた先進医療(先進的な医療であり、現在は健康保険を適用させるかどうか安全
性等の面から判断している段階で、将来健康保険の適用になる可能性もある医療のこと)のひとつです。ほとんど
の部位のがん治療が可能であり、通院でも可能なほど体への負担が少ない治療方法です。

先進医療は健康保険適応外の為、陽子線治療の技術料は全額患者負担になり、筑波大学附属病院陽子線医学
利用研究センターでは、1回あたり20分の治療を、平均23回おこない、先進医療の技術料として2,484,000円(2010
年8月現在)かかります。その他、陽子線治療に付随する保険治療や入院・通院に伴う費用等が発生します。

陽子線治療はこのようにかなりの高額である為、誰でも陽子線治療を選択できるわけではありません。ただ、ここ
数年に発売された医療保険やがん保険は、先進医療保障を付けていることが多いので、陽子線治療にも備えたい
人は、これらの保険で備えておくと良いでしょう。

確かに高額な治療費ですが、あの装置をみたら大概の人は納得しますよ!


※先進医療や高額療養費、医療費控除などについてはAll About「医療保険」でもっと詳しく取上げているので、
そちらもご覧下さい。

   

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